過日、大阪市内に所在する歯科クリニック様の接遇研修を担当させていただきました。より患者様にご満足いただけるよう、接遇面のスキルアップを目指してのマナー接遇研修でした。
歯科医院 廃院数が増加傾向にある実態
2018年の12月27日に厚生労働省より公表された医療施設調査の最新版(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1.html)によると全国の歯科医院数は、68,609件でした。さらに歯科医院の開院数・廃院数の変化を詳しく見てみると、2016年より以前は毎年、開院数は廃院数より多く推移し続けていましたが、ここに来て開院数が1,720件、廃院数が1,739件となっており、わずかですが開院数と廃院数の逆転現象が起きています。
データより分析すると、開院数は2015年1,604件、2016年1,702年、2017年には1720件と微増しているものの、廃院数は年々増え続け2015年には1,344件だったものが、2016年には1,411件、2017年には1,739件と増加。冒頭に触れた通り2017年ではついに廃院数が開院数を上回る逆転現象が起きています。
コンビニエンスストアより数が多いと聞いたこともある歯科医院、ただ個人院を開業さえすれば患者様が来院してくださる、経営は安泰というものでもなく、経営者である歯科医師ご自身が高齢を理由に閉院されたり、地域での競争激化によって閉院となる歯科医院が増えているのは事実です。
私の住む大阪府を見てみると、開院数152件に対して、廃止数は170件とやはり廃院数が開院数を上回る逆転現象が起きています。
このような現状の中、歯科医院の運営体制やサービス接遇面の見直しをされる歯科医院が多くなっているようです。
今回担当させていただいたクリニック様の場合
この度担当させていただいたのは、長年地域に愛される歯科医院様です。患者様を一人ひとりよりサポートできるように平日も夜遅くまで、土日も診療され、たくさんの患者様を一度に診察できるようにと設備も数多く整えていらっしゃいました。
外部講師を招き、院内で研修を行うのは初めてということでしたが、受付カウンターや診療台がすぐそばにあるからこそ、日頃のスタッフの立ち居振る舞いやご案内の流れ、言葉がけをリアルな状況設定で振り返ることができ、研修は実り多き充実したものになったのではないかと感じています。
お客様との信頼関係を築き、“創客・守客”の精神でスタッフが一丸となり、ますます愛され選ばれる歯科医院となるためには、患者様にどのように対応をすることが必要なのでしょうか。
研修でお伝えしたポイントを4つご紹介します。
“痛くない治療”を目ざし、不安を和らげるための医療接遇
・ポイント1:笑顔とあいさつ
仕事に追われて、つい真顔で事務的な流れ作業になっていませんか。特に院内ではマスク姿で仕事をする時間が多くなります。マスクをしていると表情は伝わりにくいため、より目尻の下がった柔和な微笑みが必要です。鏡の前にマスク姿で立ち、好印象を与える表情が出来ているか確認をしてみましょう。
そして、あいさつは当たり前ですが、あいさつに一言添える。これで患者様との距離はグッと近づきます。プラスαの一言、あなたなら何が思いつきますか。
・ポイント2:アイコンタクト
歯科医院の診察台では患者様に後ろから話しかけたり、パソコンやカルテを見ながら患者様と接する機会が多くなります。診察台にご案内した後、まずは真正面に向き合い、お客様とアイコンタクトを交わし会話をする、パソコンやカルテから一時は目を離すなど要所でアイコンタクトをとりながらお話をする、ご説明することが信頼関係につながります。
あなたは要所で正対し、アイコンタクトを取ることができていますか。
・ポイント3:一度吐き出させ、受け止める
患者様は痛みを持って来院されることも多いでしょう。「早くなんとかしてほしい」「不安を解消してほしい」「待ち時間にうんざりしている」方もいらっしゃるかと思います。そんな患者様の思いを一度吐き出してもらい、それを傾聴、共感し受容することが大切です。
傾聴とは相手の話を単に聞くだけでなく、相手の感情を汲み取り、心で聴きます。共感とは、同情ではなく心が寄り添うこと、相手が感じていることを共に感じるという姿勢です。そして、受容は自分基準で判断するのではなく、ありのままの相手を受け止めることです。
患者様のお話を遮ることなく、最後までじっくり聴けていますか?
・ポイント4:今の状態と将来の予測を話す
今の状態や治療方針は曖昧にせず、しっかり診察をし、状態を詳しくお伝えしましょう。「治療は痛いのか」「この痛みはいつ和らぐのか」「何度通うことになるのか」患者様は不安でいっぱいです。詳しい説明により、あなたへの信頼は高まり、不安は和らぎます。
あなたは話し方、伝え方にも注意を払えていますか。
以上4点のポイントを押さえて、“あんしん・あたたか・いたわり“の気持ちを表現しましょう。そうすれば“創客・守客”につながり、いつまでも愛され続ける歯科医院として地域に根付いていくはずです。
参考文献:
・厚生労働省・医療施設調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1.html
この記事を書いた人
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夢叶いJALの客室乗務員として国内線・国際線に乗務、結婚、妊娠。しかし、育児休職中にまさかのJAL破綻。思いもよらぬ形で早期退職というつらい選択を余儀なくされる。キャリアが途切れる不安から、娘1歳半より講師としてセカンドキャリアを築くが、小さい我が子を抱えての社会復帰に心身ともに限界に近づき、ひとり働き方改革!
現在はフリーランスの講師×キャリアコンサルタントとして、行政セミナー、企業研修、教育機関(高校・専門学校・大学)講義、就職・キャリアアップ支援など人材育成をメインとする。一人ひとりの個性や現在の状況と課題に着眼し、その方が描く未来に近づけるようファシリテーターとしての役割で人を導く。
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